← |
2024年12月 |
→ |
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
1 |
2 |
3 |
|
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
27 |
28 |
29 |
30 |
31 |
|
|
|
|
|
「考えてみれば、莫迦な事をやったもんだよ」 森村氏とその友人はある実験をした。 それは〈死者を呼び出す実験〉だった。
実験は意外と簡単に成功した。 呼び出された死者は女性。 自殺をした、と言っていた。
最初は女の身の上話を真剣に聴いた。 死にきれない。恨んでる。憎い。 女のありとあらゆる怨嗟の言葉が続く。 終わりが見えない。 森村氏たちの気力が萎えてくる。
帰ってもらおうぜ、と誰かが言った。 みな、無言でうなづいた。
「だから無理矢理実験を終わらせたんだ」 実験後、参加者の身辺に不幸が次々に襲い掛かった。 ある者は大事な自転車を盗まれた。 ある者はバイク事故を起こした。 ある者は自宅が火事で全焼。 これ以外にも大小様々な不幸が起きた。
「考えてみると、その全てにビニールとガスが関係していたんだよ」 盗難された自転車は川で発見された。 自転車はビニールで厳重に梱包されて棄てられていた。 バイク事故は、走行中に飛んできたビニールが原因だった。 そのビニールが顔に絡み付き、視界がふさがれ転倒したのだ。 火事はガス漏れが原因だった。 他の不幸も全てガスとビニールが関係していた。
「……これはあの女のせいじゃないか、って思ったんだよ」 呼び出された死者。 彼女は、こう言っていた。 〈頭からビニール袋を被ったの。それからガス管を咥えて……〉
「俺らの方にあの女の興味が向いちゃったのかもしれない」 面白半分でこんなことをしちゃいけなかったんだ、と森村氏が呟いた。
そこまで話し終えたとき。 一瞬、室内が静まりかえった。 どこからか『カチッ』と小さな音が響く。 それは風呂場のほうから聴こえたようだ。 森村氏が確認する。
何故か、風呂のガス栓が全開になっていた。 |
■ Trackback Ping URL
外国のスパマーへのトラップです(本物は下のほうを使ってください)
http://www.chokowa.com/training/blog/trackback.cgi20060917193801
■トラックバック
この記事へのトラックバックURL(こちらが本物):
http://www.chokowa.com/training/blog/blog.cgi/20060917193801
» ガスとビニール(5) [I'd like to tell you something about ...から] × こ、怖いっ。 自殺者はマジで恨みの塊ですね。 話を聞いてもらいたい、自分に同情してもらいたい、できれば恨みを晴らしてもらいたい、寂しいから一緒にいたいetc. と訴えてくるんだろうなぁ。 それが全部ネガティブエナジーの塊で吐き出されるからそれだけでも充 .. ... 続きを読む
受信: 23:44, Sunday, Sep 17, 2006
» ガスとビニール(5) [ささいな恐怖のささいな裏側から] × ぐっと短くなった作品。こうなったものを読むと、あらためてこの話は濃厚な描写が必要 ... 続きを読む
受信: 08:52, Monday, Sep 18, 2006
■講評
■講評を書く
|
|