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夏も終わりの暑い夜。
早川君と池田君は居酒屋にいた。
お互いにＴシャツの右袖をめくり上げ、頷きあっている。
「さっきのあれだな」
二人の肩には、青黒く大きな痣がついていた。
その夜、早川君は夜の散歩へ出かけていた。
と言っても、普通の散歩ではない。
肉体を脱ぎ捨て、中身だけで行う空の散歩だ。
自分の身長ぐらいの高さを、歩くような速度で軽やかに飛ぶ。
素晴らしい開放感。
タバコ屋の角を曲がり、コンビニの脇をすり抜ける。
いつも利用している書店の前に出たとき、向こうから何かが飛んでくるのが見えた。
あっ、とおもわず声を上げた。
飛んでくるのは友人の池田君だった。
向こうも驚いた顔をしている。
（あいつも抜けるヤツだったのか……）
そんなことを考えているうちに、二人の距離は縮まってきた。
（おいおい、このままだとぶつかっちまうぞ）
この歩道は、大人二人がスムーズにすれ違うのには少々狭い造りになっている。
彼はいつもやるように歩道の左端に寄った。
向こうから来る池田君も、同じように歩道の端に寄っていく。
二人がすれ違おうとしたとき、突然右肩に衝撃を感じた。
瞬間、彼は今まで飛んできた道を引き戻された。
書店。コンビニ。タバコ屋。
まるで、ラインの先についたルアーが巻き戻されるがごとく。
気がつくと、自分の部屋の天井を見上げていた。
ベッドの中でさっきの出来事をゆっくりと反芻する。
むくりと起き上がり、携帯を手に取った。
「ああ、池田？ うん……うん。判った。さっきの書店の先にある居酒屋に集合な？」 |
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受信: 20:09, Tuesday, Sep 05, 2006
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今回は（８）まであるのですね。 逆行パターンとでも言いますか。「痣」が冒頭にくるパターン。間にセリフが入った事で違和感は前の二話より無いですが。 ところでこの話のキモは何でしょう。 こうなると贅肉も落ちたけど必要な筋肉まで落とそうとしてませんか。 .. ... 続きを読む
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