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夏の終わりの、暑い夜。 商店街の小さな居酒屋。 早川君と池田君は、互いの右肩を呆然と眺めていた。 捲り上げられたTシャツの袖口。 そこには大きな、青黒い痣。
――二時間ほど前。 早川君は肉体を抜け出し、夜の街を飛び回っていた。 歩道上を、すいすいと遊泳する。 その素晴らしい開放感。 身体から「抜けた」状態での、空中散歩。 誰にも言えない、彼の特技。
薄暗いタバコ屋を通過する。 幽かにテレビの声が聞こえ、店主の婆さんがまだ起きているのがわかる。 コンビニ前で、塾帰りの学生達の隙間を縫う。 目と鼻の先をかすめても、全くこちらに気づかない。 馴染みの書店はシャッターを下ろしている。 今日の夕方に立ち寄った際、買い忘れた雑誌があったのを思い出した。 明日は忘れずに買おう。
こじんまりとした居酒屋に差し掛かったところで、早川君は目を疑った。 前方から、酔っ払い達の脇をすり抜け飛んでくるモノがある。 (……何て事だ、あいつは)
友人の、池田君だった。
縮まる二人の距離。 書店前の歩道は狭い上に、サラリーマンらしき酔っ払いがうずくまっている。 避けなくては。 彼は慌てて、歩道の右端に寄った。 池田君も居酒屋の看板をするりとかわし、歩道の左端に滑る。
二人がすれ違おうとした、その瞬間。 座りこんでいた酔漢が突如立ち上がり、書店のシャッターに向けて盛大に嘔吐した。 動揺し、バランスを崩す。 狭い歩道の中央で、二人の右肩が接触した。
ざぁっ、と視界が動いた。 体が、後方へ引っ張られている。 見れば池田君も、物凄い早さでうしろに下がっていく。 ふたりは一気に、もと来た道を引き戻されていった。
肉体に戻った早川君は即座に、池田君へ電話を入れた。 「何だよお前、マジかよ。うん。うん。……オッケー、さっきの居酒屋で集合な」
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