← |
2024年12月 |
→ |
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
1 |
2 |
3 |
|
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
27 |
28 |
29 |
30 |
31 |
|
|
|
|
|
早川君と池田君は、居酒屋にいた。 お互いにTシャツの右袖を捲り上げている。 二人の肩には、青黒く大きな痣がついていた。
早川君にはある特技がある。 肉体を抜け出し、夜の街を自由に飛び回ること。 飛び回る、といってもせいぜい頭の高さを歩くような速度で、だが。 所謂「幽体離脱」というやつだ。
その日居酒屋に行く前も、彼は肉体を伴わない夜の遊覧飛行を楽しんでいた。 夏の終わりの暑い夜。 いつもは歩いている歩道の上を飛ぶ。 素晴らしい開放感で身体も軽い。
薄暗い近所のタバコ屋の前を抜ける。 コンビニの灯りの前にたむろする人々。 いつも利用している書店はシャッターを下ろしていた。
その書店の前を通り過ぎようとしたとき、気がついた。 向こうから誰かが飛んでくる。 それは友人の池田君だった。
(あいつも抜けるヤツだったのか……) そんなことを考えているうちに、二人の距離は縮まってきた。
書店の前の歩道は狭い。 避けなくては。 彼は歩道の右端に寄って、すれ違おうとした。 向こうから来る池田君も、同じように歩道の左端に寄っていく。
これが間違いだった。
肉体を伴わない彼ら。 空を飛んでいる彼ら。 上下にすれ違っても、車道に出て避けてもよかったはずだ。 だが、習慣通りの行動に出てしまった。
それだけでは避けきれず、右肩と右肩が接触した。
瞬間、彼は今まで飛んできた道を引き戻された。 書店。コンビニ。タバコ屋。 まるで、ラインの先についたルアーのごとく。
再び肉体に戻った彼は、さっそく池田君に電話を入れた。 「ああ、うん……うん? 判った。さっきの書店の先にある居酒屋に集合な?」
|
■ Trackback Ping URL
外国のスパマーへのトラップです(本物は下のほうを使ってください)
http://www.chokowa.com/training/blog/trackback.cgi20060827223215
■トラックバック
この記事へのトラックバックURL(こちらが本物):
http://www.chokowa.com/training/blog/blog.cgi/20060827223215
» 幽体離脱接近遭遇(3) [ささいな恐怖のささいな裏側から] × これまた、時系列を変えたパターン。居酒屋で双方袖をまくってみると、肩にあざができ ... 続きを読む
受信: 00:08, Monday, Aug 28, 2006
» 幽体離脱接近遭遇(3) [I'd like to tell you something about ...から] × どうしてもオチが分かってるから構えて読んでしまう。 困った。 頭をリセットして読む必要は無いんだけど。 でも正直違和感があったのね。最後も中途半端な印象だし。 一行空けたとしても、オチの部分から「早川君の特技」は飛びすぎ。 オチを先にもってきたら、 .. ... 続きを読む
受信: 00:31, Monday, Sep 04, 2006
■講評
■講評を書く
|
|