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汗が止まらない。
なのに悪寒が続く。
東沢さんは高熱で倒れていた。
一人暮らしなので、誰かが看病をしてくれるということもない。
ただ魘されることしかできなかった。
そんな中、夢を見た。
辺り一面真っ白な所に、東沢さんは立っている。
壁があるわけでもないから、屋外なのかもしれない。
まるで寒 ..続きを読む |
by 時計 ¦ 20:42, Tuesday, Nov 28, 2006 ¦ 固定リンク
東沢氏がポケットから右手を出す。
その掌の上には、小汚い腕時計がひとつ乗っていた。
ところどころに渇いた泥がこびりつき、ガラス部分にひびが入っている。
どことなく古臭さが漂う腕時計だった。
「これ、昔の彼女がくれたものだけどさ」
彼はそういうと、時計をテーブルの上に置いた。
ほんの少し、乱暴に ..続きを読む |
by 時計 ¦ 07:02, Monday, Nov 20, 2006 ¦ 固定リンク
その日、東沢さんは机の整理をしていた。
長年愛用の机だけあって、いろいろなものが詰まっている。
使いかけのノート。
千切れた消しゴム。
空になったシャープペンシルの芯ケース。
キャップの無くなったボールペン。
使いかけの修正液。
プリントの束。
レシートと領収書、等々。
「我ながら呆れるな」 ..続きを読む |
by 時計 ¦ 15:59, Thursday, Nov 16, 2006 ¦ 固定リンク
「とても――色の白い、綺麗な人だったんだ」
気配り上手で、贈り物を考えるのが好きな人だった。
自分にはもったいないくらいの女性でね。
そう言って、薄く微笑む東沢氏の手には、一本の古い腕時計。
彼がまだ文筆業で身を立てる前、北海道に住んでいた頃の話。
当時、愛用の腕時計があった。
恋人から贈ら ..続きを読む |
by 時計 ¦ 20:41, Saturday, Nov 11, 2006 ¦ 固定リンク
机の上に、木製の小箱があった。
東沢氏は掌で、そっと埃を払う。
「……二十年近く前の話だけど。その頃、付き合っていた女性がいてね」
ちょっと長い昔話だが、聞いてくれるかいと微笑んだ。
北海道、札幌市。
大学生だった彼が愛用していた、一本の腕時計。
それは当時の彼女から贈られた品である。
「勿論 ..続きを読む |
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